第100話『平穏の日』



 ふわふわ浮いているような世界。
 目の前に現れた竜神様。
 私を加護してくれているスピリオッド、と名乗る銀色の長い髪をした女性の竜神。
 何度か仮竜人化<フェルト・ウェリタ>した姿を見たことがある。
 薄々それが誰なのかは知っていた。
 姿形が変わってもわたしをずっと守っていてくれた。
 わたしがずっと寝ていたのは彼女の膝元。
 小さな子供に戻ったように大きな存在だった。

『アキ。聞いて。貴女に伝えなければならないことがある』
 聞きなれた声だった。
 冷たい言動だけれど、何故か暖かくて好きな声。
 はい。
 そう言ってわたしはその言葉を待った。
『貴女はシルヴィアの願いにより、一時的に衝撃を受けて崩れかけた神性を私の元で回復させた。
 本当ならば、肉体ごと回収して歳と同じ時間ここで作り直す事になったのだが――
 貴女は仲間に恵まれた。
 フォーチュンキラーで肉体は回復した。
 神性だけならばもっと短い期間で回復させることが出来たからな。
 しかし現世の神性が入っていない器ではやはりすぐに死んでしまう。
 そこで世界の記憶を神性にして入れ込むことにした。
 それが貴女がこれから知る記憶の正体。シルヴィアだ』
 ……はい。
『要は貴女は生きることが出来た。シルヴィアに感謝をするんだな』
 はいありがとう御座います。
 言葉の主に返す。
 少しだけなんだかなぁという感じの空気があったがコホンっと咳払いをした。
『……私ではない。
 彼女の願いを竜神バハムートが認めた。
 それを叶えるのが私の使命。それだけだ。
 もう彼女の願いは叶えた。
 “シルヴィア”に“娘”を助けさせた。
 ……もうこのような特例もないだろう。
 貴女は見所が多い。願いを託された事も含めて、だ。
 これからも精進を忘れず、自らの道を歩めばいい――』
 わたしは彼女の座っているはずの王座を見上げた。
 その姿は見えないはず。

 でも、一瞬だけ――銀色の髪の長い女性がわたしを見て微笑んだ気がした。


 彼女が最後に言う。


 おはよう、アキ。





 目を覚ました。
 ぼーっとしてた頭はなんだか急に冴えてきて、きょろきょろとあたりを見た。
 上質なベッドの上。
 着替えた覚えの無い服を着ていてどこか落ち着きのある部屋に居た。
 すぐに記憶がここがグラネダのお城――に付属する神殿の客間であることを知らせてくれた。
 ああ、帰って来たんだ。
 グラネダに――。

 ――わたしにはわたしじゃない誰かの記憶がある。
 思い出せる。
 シルヴィア・オルナイツが過ごした日々が――。

 コウキさんと出会う。カフェオレが美味しい。
 コウキさんの作るご飯にかなり期待を持ってた。
 うわぁ。結構食べた記憶が……。
 洞窟に下りて――。
 迷宮に入って。二人と仲良くなった。
 むちゃくちゃだけど、やっぱり強いんだ――。
 ……ってコウキさんのお尻を!? や、お、お母さん!? やだもー!
 ……
 ……
 ……こほんっ。
 そして、部屋の守護者。
 コウキさんが無茶してた。
 でも――勝機を見出した。
 ピンチだって。
 血の盟友<エンブレムブラッド>
 わたしがシキガミになった。
 最後。
 コウキさんが腕を失くして。
 ああ、怒ったのはわたし。
 だからお母さんがそれに答えてくれた。
 シキガミ様と対等の戦い――凄い。
 キセキみたいな肉体の記憶。
 戦いへと駆り立てるような神経の疼き。

 純粋に憧れた。

 あんな風に強ければ。
 二人を泣かしてしまうようなことも無かった。
 守りきれないことなんて無かったと思う。

 わたしは――あんな人になりたい――。





 一先ず、着替えて顔を洗いに行こうと自分の服を探す。
 ベッド横の小棚の上にきっちりたたんであり、上着は壁に掛かっていた。
 わたしはその畳んであった服のほうだけ着ると慣れた神殿を歩き出した。

「おはよーっ!」
「あ、お早う御座います」
 水場で二人に会う。
 黒髪の人懐っこい少年。
 金髪のかわいい少女。
「おはよ〜」

 そう言ったわたしに二人の視線が集まる。

「……」
「……」
「な、なにっ?」
 ……何かやったかな。
『……アキ?』

 確認。
 半信半疑でそう聞いてきた。
 そう、変わり目なんて……何があったかなんて二人は知らないだろう。
 ちょっとだけ申し訳なさそうな感じの二人が可愛くて、少し笑う。

「はいっアキ・リーテライヌですっ。
 おはよう御座いますっファーナっコウキさんっ」

 言葉にして伝え無くては分からない事だって多い。
 感じ取るだけが全てじゃなくてわたしがわたしであると言わなくは二人の確信にならない。
 ビッとコウキさんがわたしを指差す。
「よし! 今日の為に練習して来た体当たりだ!
 Go!
 ファーナ!」
「そんなものは知りませんが、……行きますっ」
 来るんだ!?
 ビクッと反応してしまったが受け止める体勢をとる。
 タタッと軽くわたしに走り寄るファーナ。
「アキ――」
 ああわたしは戻ってきた。
「ファーナ――」
 こみ上げる感動に泣きそうになる。
 ファーナを受け止める。
 懐かしい感覚。
 妹のような友達。
「お帰りなさい――っ!」
 長い、とても長い時間。わたしは一緒にいることが出来なかった。
 その言葉は2度目だけれど。
 改めてわたしに向けられた祝いの言葉。
「ただいまっ」



「お姉様ー!!」

 ゴッ!

 予想外の方向からまさにタックルがわたしを襲った。
 腰辺りから斜め45度に突き上げるような衝撃。
 体勢が浮き上がり、いろんな意味で耐えるのは無理。
「わっはぁっ!?」
「きゃ――」
「あははは――っ!」
 3人でドサッと転がる羽目になる。

「大丈夫〜? あ、おはよアイリス」
 コウキさんがわたしたちを覗き込んで笑う。
 そして、事の原因に朝の挨拶をした。
「はいっお早う御座いますシキガミ様!」
 びしっと本人はすぐに起き上がって挨拶をする。
 レモン色のふわふわした髪が元気に揺れる。
 歳相応の笑顔が全開で眩しい。
 芝生だったから痛くもなく、服もあまり汚れなかったけど。
 バサっと起き上がったのはそのお姉様と呼ばれたファーナ。
「アイリスっ貴女はもう少し慎みというものを……!」
「あまりにも美しい光景だったのでわたくしもっと思いまして」
 言いながらとってもいい笑顔でアイリスが笑う。
「そうではなぷっ!?」
「まぁまぁ」
 しっかり者のファーナは続けて叱ろうとする。
 朝からそんなに怒らなくてもーと思ってぷすっとほっぺたを突付いた。
「もうっしりませんっ」
 どうやら機嫌を損ねたらしく、そっぽ向かれた。
「……あっ」
 と、思ったらすぐ何かに気づいたかのようにアイリスに視線を戻す。
 表情がコロコロ変わるファーナ。
 ほんと、コウキさんに似てきたなぁ。
「アイリス、紹介します。彼女がアキです」
「あ、はい? へっ? あ、あの、シルヴィアでは……?」
 紹介を聞いてわたしとファーナを見ながら言う。
 
「いえ。わたしはアキ・リーテライヌと申します。はじめましてアイリス様」
「ええええええっ!?
 あっ、あのっ初対面でなんということを……!
 も、申し遅れましたわたくしアイリス・F・マグナスと申しますっ!
 はっアキさんといえばお姉様のご友人で亡くなられたとかっ!? あれっ!?
 でっ、でも本当にシルヴィアにそっくりでっもしかして担がれているのでしょうかっ
 でもお姉様が言ってることですし、ええと、何がどう…………」
「アイリスー息継ぎ息継ぎ」
「すぅぅぅ! なっているのでしょうか!!?」
 息継ぎを忘れて夢中で喋ることが出来るらしい。
 うっすらと記憶に残ったお祭りの出来事を思い出してちょっとだけ笑えた。
 なににせよ見事に混乱を招いたようだ。
 ファーナやコウキさんも目を合わせると首を傾げて苦笑する。
「では……わたしから話させて貰います」
 わたしが全貌を話すべきだと思った。
 その原因の本人であるわたしがみんなに真実を説くべきだ。
 夢と併せてそのおきた奇跡をみんなに話すことにした。

「……その前に顔洗っていいですか?」
 ちょっとした要望とかをあげつつ。
「あ、どーぞどーぞ!」
 コウキさんがササッと道を譲ってまるで執事のように礼をする。
 そこに現れたのが銀色の髪を縛っていない朝の支度中のヴァンさん。
「お早う御座います皆さん……? ああ、アキさんのお祝いですね。
 どうぞお先に」
 そう言ってホンモノノ執事の礼がコウキさんに並ぶ。
 何を悟ってそうなのかさっぱりなんですがっ。
「そうですね。コウキが礼を払っているの言うのにわたくしが怠る訳に行きません」
 な、何をいいだすのファーナまで!?
 ささっとコウキの対面に立つとスッとメイドと同じ礼をしてみせる。
「あ、楽しそうですっ」
 ア、アイリス様――!?
 何を思ったのかファーナの後ろに並んで同じ礼をする。
 目前の絶景。
 え、何この状態。
 王女様二人とシキガミ様と城の官僚様
 何を隠そうこの中で一番身分が低いはずのわたし。
 何を思って朝から顔を洗うためだけにこの4人が頭を下げるのか。
 原因はそのシキガミ様で間違い無いのだがこの状態にどう反応すれば良いのか本当に困った。
「ふ、普通に顔洗わせてくださいーっ!」
『あははははははっ!』

 ああ、なんか――戻ってきた。
 そんな実感。
「も〜」
 言いながら笑う。
 穏やかな日々に戻ってきた。
 ちょっとだけ泣きそうになったのを顔を洗って誤魔化すことにした。



 ……
 顔を洗って、ついでに朝食を摂った。
 座る場所に座ってちゃんと話を聞きたいというコウキさんの意見だ。
 食べ終えるとすぐに片付けられ、綺麗に拭かれたテーブルに全員――
 コウキさんとファーナとヴァンさんとアイリス様が座っている。
 ルーちゃんが足元。
 テーブルの上に乗せると、メイドさんに睨まれるためである。
 そのルーちゃんを拾い上げて足の上に乗せみんなを見回すとその視線がそのまま返って来た。
 ああ、そんな見つめられると何を話せば良いのか分からなくなってしまう。
 ちょっと目をつぶって深呼吸すると割り切って主要なところだけを話すことにした。

「その、わたしは聖剣のノヴァと戦って、致命傷を負いました。
 心臓を貫かれて、終わり。あっけない結果でした。
 ホント、身の程知らずで申し訳なかったんですが……。
 でもわたしにはひとつ秘密があって、なんと死ななかったんです」
「な、なんだってぇぇ!?」
「それはどういうことですかっ!?」
 コウキさんとファーナが凄い勢いで突っ込んでくる。
「ふふ、そこに、お母さん……シルヴィアが関係してくるんです。
 わたしの母は、一度ドラゴンと戦って勝って居るんです。
 それが……竜士団壊滅の天意裁判<ジャッジ>に飲まれた時――」
「……」
 こくりとアイリス様が頷く。
 真剣な目でわたしの話を聞いてくれている。

「その時の願いが一つ。わたしを助けること。
 その願いを託されたのがわたしを加護してくださっている竜神様だったんです。
 本来、あの時みたいに致命傷の場合、
肉体と神性の回復の為に年齢と同じ時間を過ごす事になっていたみたいなんです。
 ですが、コウキさんとファーナが運命無視をかけてくれたおかげで身体が生きました。
 神性が竜神様の元で回復をしていたと言うわけなんです。
 一般的に肉体から神性が離れれば死なので死んだと言えば死んだのかもしれませんケド」
「え、じゃぁ死なないの?」
 コウキさんが驚いた顔でわたしを見る。
 わたしはそれに頭を振って笑顔で答えた。
「残念ですけど。次からコロっと死にます」
「うおっ殺虫剤みたいに簡単すぎるっ」
「残念ですがお母さんの願いは叶ったんです。
 ですからその加護が今後つくことはありません」
 言われたことはコレが全て。
 わたしに起こった奇跡の概要だ。
「残りは質問してくれれば分かるところだけ答えますけど……あ、ありがとう御座います」
 ファーナ専属のメイドのスカーレットさんが
話の終わりにすっと寄って来て皆に紅茶を淹れてくれた。
 それに小さくお礼を言ってずっと喋っていた喉を潤す。


「では聞きます。シルヴィアの存在……あれは何だったのでしょうか?」
 ヴァンさんが最初にそう言った。
 お母さんの存在は確かに大きくなってた。

「お母さんは……世界の記憶、と言われていました。
 シルヴィアという神性はもう存在しません。
 わたしの神性が回復の為に身体と離れる間、その“世界の記憶”で構成した性格“シルヴィア”をわたしに入れ込みました。
 でも、世界の記憶の定義が、わたしにはまだよくわからないんですけど……」

 わたしが言うとなるほど、とヴァンさんが腕を組んで右手をあごに当てた。

「世界の記憶とは――、全ての生物、環境の記憶。その総称です。
 例えば、私が知っているシルヴィア、国王様、王妃様が知っているシルヴィア。
 シルヴィアが触れた木、歩いた大地。全てに記憶されているシルヴィアの外形のことです。
 それを寄せ集めて神性を構成し、貴女に入れ込んだ。
 不完全な彼女――と言うことですね」
「でしょうか。ヴァンさんは違和感を感じましたか?」
「いえ。むしろ完全に彼女そのもので困ったぐらいです」
 むぅっとため息らしきものを吐きながら目を閉じた。
 ていうかそれなら……8割ぐらいヴァンさん達の記憶からきてるんじゃ……?
 まぁそれもあるのだろうけど、スピリオッドが構成した彼女だ。
 それが本人に近くならないわけが無い。
 記憶の制限をしたのはわたしに試練の情報を与えないためだろうか。
 とはいってもお母さん自身の記憶はおぼろげ過ぎて意味の分からないものが多い。
 そんなことで悶々としてるとコウキさんが椅子の背もたれに身体を預ける。

「じゃ、もうシィルには会えないのかー。ちょっと残念」
 コウキさんがそう言ってドキッとした。
 わたしがいらないってことかな……とか一瞬にして凹んだ。
「まだ全然お礼とか言ってないしさ〜。今度会ったらいっといてよっ」
 ああ、そういうことか、と胸をなでおろす。
「えとっはい。会えたら……ですけど」

 スピリオッドには伝えておこうと思う。
 また違うとか言うんだろうな。でも別にそれでいい。
「そいやなんかこういう会話をどーっかでやった気がすんだよね〜?」
 コウキさんが何かうーんと唸っている。
「誰とですか?」
 わたしがそう聞くとコウキさんと目が合う。
「……ん?」
 何かに気づいて機敏な動きでファーナに目をやる。
「ファーナ?」
「はい? わたくしにはそのような覚えはありませんが」
「……うおぁ! やっべ! やっちまった!
 メービィ! メービィとした!」
「メービィと何を?」
「いや、その、ほらっ! 若さゆえの過ちっていうか!
 気にする事じゃないんだって全然っ」
 珍しくコウキさんがすっごいあたふたしている。
「仕方がありません。あとでメービィに問います」
「やめてーー!」
 コウキさんが真っ赤だ。
 あれ、凄く気になる。
 そそっとファーナの方によって言ってみる。
「わたしにも教えてねっ」
「はいっ」

「ルーーー!! ルゥゥゥーーーー!!! 俺を空間圧縮の海に捨ててぇぇぇ!!」
「カゥ!?」

 ほんと、なんなんだろう?
 ルーちゃんをわたしの膝の上から奪って、鼻を突付きまわすコウキさんを見ながら考えた。
 でもやっぱり彼が何を言うかなんて予想もつかない。
 まぁいいか、と区切ってわたしもルーちゃんを撫でることにした。



「カゥゥゥゥ……キュゥゥゥゥクゥ? カゥッ!」
「へっ? どうしたよルー」
 二人で撫で回しているとルーちゃんが何かを喋ったようだ。
 コウキさんが聞き返す。
「カゥッキュゥウゥ! カゥッカゥ!」
「あっ! マジで!?」
「なんと言っているのですか?」
 ファーナがコウキさんに問う。
 いつも思うんだけど、いいなぁ……。
「ほら、四法さんとジェレイドが来てるじゃん? 箱回収してくれたんだって」
「確かに、居ましたねそういえば」
「あっ、いたんですか?」
 コウキさんが指を立てて言うと、ヴァンさんが頷いて、ファーナも思い出したようだ。
 わたしは直接あった――ような記憶が在る気がするけど、やっぱり薄い。
「それはどちら様でしょう……?」
 そして最後おずおずとコウキさんにそれを問うアイリス様。

「……はぁ……かわいそうに……」

 コウキさんが認知度の低さに項垂れる。
「ま、アイリスには後で友達になってもらう」
「えっあ、そう、えっ!? お友達のご紹介ですかっ!?」
 期待と不安の入り混じった表情でコウキさんを見る。
「うん。アスカっていう子が俺と同じシキガミなんだ」
「し、シキガミ様がお二人に!?」
「そそ。しかも女の子だよ」
「女性のシキガミ様ですか! とても素敵ですっ」
 アイリス様の目が輝く。
「うん。面白い人だよ。
 んじゃぁ今日は二人を探して、前線組み打ち上げパーティーなっ!」
「あ、それならお父様達も入るのでは?」
「忙しい人を無理に引き出すのも……いっか!
 スカーレットさん、夜って呼んで貰える?」
 後ろに控える実は絶大な実力を持つファーナ専属メイドさんに話を振る。
「そうですね。交渉はしてみましょう。
 ですが国もまだざわめきが収まりません。
 お二人もいつも以上に忙しいでしょうからあまり期待はできません」
「そっか。でもお願いっ」
「かしこまりました」
 コウキさんが言うのに深く礼をして答える。
「おし。ありがとっ。
 んじゃぁ俺は早速探しに出るかなっ! ご馳走様でしたっ」
「わたくしもそうします」
 コウキさんとファーナが席を立つ。
「私は城の公務を手伝って参ります。
 何かありましたら書斎までいらしてください」
 ヴァンさんも席を立って皆に言った。
 私は二人についていこうかなとルーちゃんを下ろして席を立つ。



「――あの、少し、お話いいですかっ」

 わたしを引き止めたのは、意外な人。
 アイリス様の緋色の瞳と目が合ってその言葉がわたしにというのに、すぐに気づいた。
「ん? あ、一緒に話しててよ。すぐ探して連れてくるから」
「そうですね。お昼前には見つかってつれてこれると思います。
 とはいえずっと食堂なのは……わたくしの部屋でよければそちらを使ってください」
「あ、そうですか、じゃぁ……アイリス様行きましょうか」
 とはいえ、王女様。
 今度は本当に将来を約束された正王女様だ。
「はいっっ」
 目を輝かせて頷くアイリス様。
 ファーナとは別な感じでかわいい。

 わたし達は二人を見送ってファーナの部屋で話すことにした。


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