第156話『強者渇望』
「――、やった――……」
そう口にして、違和感だらけの終わりに頬が引きつる。拳を握ったまま空に居る存在を仰ぐ。ただ何を思っているでも無さそうな、詰まらないものを見る瞳が国王を見下ろす。
「ワケが、ないか。
本物は何処だ魔女!」
ビリビリと怒声を含んだ声が響く。
「あら、嫌ですわ国王様、貴方が倒されたでは有りませんか」
「嘘を吐くな! 肉体はあのような壊れ方などしはしない!」
「まぁ、詳しいのですね。まるで何人も壊してきたみたい」
ああ、ソレも仕方の無い、悲しいことですよね、と魔女は影を落として笑う。
「ふん! 巫山戯るのも大概にしておけ!」
そのような事は微塵も気にしては居なかったが、その知った風な口調にだけ怒鳴りつけた。魔女は「まぁ怖い」と薄く笑ってフッと姿を消した。
気を張ってその場に居た皆が辺りを見回すと魔王が砕けたその場所に突如として現れる。何よりこの戦場に置いて一番厄介な存在な魔女。捕らえる事ができず、無詠唱で法術を行使する。魔女である事は誰にも否定は出来ないし彼女も自らを魔女と呼称する。早めに型をつけなくては厄介だと拳を魔女に向ける。
「そう、誠に残念なお話ですが、貴方の拳は魔王様には届いて居ません。
とても惜しかったですね。紙一重です。もしかしたら紙より薄かったかもしれません」
「下らん……!」
話を聞く気も失せて、国王は駆け出す。地を駆ける事ならばグラネダに置いて随一。その身体能力による破壊は獣人やオークとも一線を引く能力として認められている―――それが“鉄拳の王”ウィンド。
「先に貴方のたった一つの敗因を教えて差し上げます」
興味が無い、と国王は突き進んだ。愚策ではない。背後にはアルフィリアの援護があることが分かっていたし、バルネロも黒騎士団を押さえつけている。危ないモノが見えれば同じ速度で後退も出来る。地上、超近接の戦いに於いての自信は人一倍持っており、それは過信とは言い難い程の戦績を持っている。
「貴方が私達と戦うのは」
魔女が言葉を紡ぐ間に拳の圏内に踏み込んだ。
「遅すぎた事です」
拳は完全に魔女を捕らえた。
油断も隙も無く、
慈悲も猶予も無く―――
拳で国を襲った賊に制裁を加える。
「―――」
違和感と、記憶のフラッシュバック。
聞いたことのある声。覚えのあるフレーズ。
その名は捨てられたものだった。消えていた自らの名前。
その名前が効果を持つことは無かった。法術でもない、魔法でもないその言葉はこの世界の“ウィンド”となった彼には不必要、そして忘れられた名。
それが効果を及ぼしたのは最近の記憶の解放の影響。夢が、行動が自分達と重なる神子とシキガミが一つずつ記憶の紐を解いていく。
しかし、そんな言葉程度では拳は止まらず――、あの鏡のように、壊れるようにと拳が振るわれた。
「痛いよ」
ピタリと 彼女の鼻先一寸でその動きが止まった。
「そこを退いてくれ」
自分の目の前に立ちはだかったシェイルに言った。
何を考えているのか分からないと始めは思っていたが慣れてみればソイツの思考なんて自分と似たような単純な考え方ばっかりだった。ただその区分けがハッキリしていて、ダメなものをダメだと完全に切り捨てる。
そんなヤツでも戸惑う事がある。それを知ったのはごく最近で、苦渋の決断の末に妥協をすることすらある。
まぁ、それは全部、自分がテコでも動かない姿勢を見せた時でしかないのだが。
「ダメだ」
通せない。意志を持って両手を開いてタケヒトを止めていた。
「何でだよ!」
「ソレをどうするつもりだ」
指差されたソレ。真っ赤な身体がゆっくりと黒く染まり始めていた。微かな息遣いしか聞こえない。
森の中に捨てられるように転がっていた衝撃的なモノを見つけたのは空に飛び立つ金色の何かを見つけたからだ。飛び立った位置に何があったのか――少し気になった。
シェイルの制止の声を無視して、草を掻き分けて獣道を進んだ。
血生臭さにはすぐに気付いた。割と酷い血の跡が点々と続いていて嫌な予感しかしなかった。そして案の定――そこに倒れる瀕死のコウキを見つけた。
死んでは居ない。ただこのまま放っておけば必ず死ぬ。だからソレを担ぎ上げた。
「キュア班に連れて行く」
「馬鹿者!」
「知ってる!」
「何のための訣別だ! お前の意志はそんな約束も守らないのか!」
「人の話を聞けっ!
オレ達はグラネダ側だろ!? 助けて何が悪いんだ!」
「お前が節操なくそれをする様になること事態が悪い!」
渾身の叫びが森に響いた。
喧嘩は多いがこんなにも彼女が感情的になるのは珍しい。だから少しだけその顔を眺めて、やっぱり、その言葉が溶け込むことが無くオレは苦い顔をした。
「……違う。
オレのしてぇことは強くなる事で、ダチを見捨てる事じゃない。
向かい合って殺したならこうはしねぇ」
この世界を認めた。オレはこの世界に生きている。
再び同じ世界に生まれた友達。
オレたちはこの世界に来たって対等なツレのはずだ。
「どうしても止める気なら、オレごと殺せ」
ギリっと牙を剥いた鬼のような形相でオレを睨むシェイル。色んな国で聞いたオークの認識は「暴力的な劣等種族」や「知能の低い下等集団」と言った劣悪な物だった。
確かに――すぐに手を出す。見ようによっては、考えもなく殴ってくるように思える。
事実暴力的なその史実は正にその生態を見せているのかもしれない。幾度も戦争に巻き込まれながら、消えなかった強い種である。
小数部族でありながらいつまでも恐れられ、世界から疎まれている。身体能力は獣人を除けば随一。
しかし力強く、獣でないその姿は――鬼と言われる前は、神の子と言われていたと聞いた。
無慈悲なんじゃない。平等なんだ。
考えてないんじゃない、その人に自分を重ねるんだ。
暴力じゃない――防衛なんだ。
物事を真剣に考えた結果の防衛行動。それが力での圧倒――相手に逃走を選ばせる彼らにとって最も簡単で最も誰かを傷つけない事だった。無表情に見えて一番感情的な奴等だからだ。誰か一人を好きであり続けるなんて、自己防衛以外の何者でも無い。
ずっと一緒にいて、やっと分かった。人一倍誰かを信じる。だから人一倍誰かを疑う。すげー寂しがり屋の癖に、すげー強がり。そういう単細胞なヤツ。
「わりぃ、シェイル」
シェイルは眉間に皺を寄せたまま口を尖らせる。グッと握った拳を下げて、伏目がちにオレを恨めしそうに見る。
「手貸してくれ」
シェイルは自分の意見を強く言う。
そして、強情だ。でも――。
オレの意見を必ず尊重してくれる。
だから、結構、嫌いじゃない。
「……拗ねるなよ」
「……拗ねてなどいないっ」
はぁ、と溜息を付いていつも通りの無表情に戻った。
助ける側に回る腹を括ったらしい。オレが担いでいたそいつの傷口をきつく縛って、オレに背負わせる。
「周りは気にせず城門に真っ直ぐ走れ」
「任せろっ頼りにしてるぜ相棒!」
「……行くぞ馬鹿者」
「照れるなよ」
「照れてないっいいから走れ! そのトモダチが惜しいならな!」
「おう!」
ガサガサと緑色の木々を掻き分ける。戦場の喧騒はいっそう激しくなり、その戦火を目の当たりにする。
叫びと土埃、剣と法術。
この世界だからこそ。この大戦争はとても意味のある事で、その壮大さにすげぇ、と一言呟いた。
「この大きさの戦争は、近年稀だ……! 人に紛れろ。羽の付いたヤツは全部敵だ」
「流石に迂回とかした方がいいか!?」
「そのトモダチが死んでもいいんならな!」
「突っ切る!!」
何万なのかは分からない。目で数えるような規模じゃない。細かい事は無視だ。あとは――シェイルの目を信じて真っ直ぐ進む事にした。
最初にこちらに気付いたのは青羽の付いた一団隊だ。急に空が暗くなったと思ったらそいつ等が俺たち目掛けて突進してきた。
「収束:500 ライン:左手甲の詠唱展開!
術式:紫電の疾走<ハクラ・ガルベスト>!!」
その空に居た人達を同情する。
高い場所に居る奴を叩き落すのが得意な相棒が落雷を落とす。本当に空から落ちるのでは無く発生するものではあるが知って居ても避けられない術である分容赦ない。――いや、油断をしない。優秀なヤツだ。この危うい世界でオレを生かしているだけの事はある。
その時の最善の処理を最速で行う事が出来ずして、“鬼”の名は語れない――。
「ひゅう!」
「余所見をするなタケヒト! 来るぞ避けろ!!」
「うおっ――とぁ!」
左右から赤い羽の二人がオレに向かってくる。コウキを背負った状態じゃそのどちらともを相手にはしていられない。
「ちっ――タケヒト!」
シェイルは――数の多い青羽隊を止めているので精一杯だ。
やっぱり多勢に無勢すぎたか――っ。
「――ガァアアアアア!!!」
さらに獣―――!? いや、獣人! ライオンを模した顔をした獣人が鈍重なはずの武器をただの木の棒のように振り上げる。それは流石に、コウキを背負ったままじゃ避けられない……!
「術式:大地決壊<グランド・バスター>ァァァア!!!」
ドゴォォォ!!
その斧が思い切り地面に突き刺さり、亀裂を生む。そしてボコボコと地面が浮き上がって破裂する。
ボォォォンッッ!!
土の中で爆弾が破裂したみたいな衝撃に吹き飛ぶのは赤羽の兵。その姿を見てもう一人の羽兵は羽を翻して着地する。怖気づいたのだろう――その時点で、そいつは終わっていた。
ゴッ……!
余り大きな音はしなかった。目の前から忽然と消えた羽兵は自由ではない宙を舞う。
その原因に気付いてはっとした。自分が持つものと同じほどの大剣を見る事は珍しいと思った。鎖につながれたそれがジャラジャラと音を鳴らして中心に居る人物から数十メートルをグルグルと大回転する。
そして巻き込んだ全てを一旦宙へと大きく放り投げ――誰かの法術か、思い切り地面へと叩きつけられている。コノ戦場にも大概無茶苦茶なヤツばかりが居るのだろう。オレはその赤髪の彼女を知っていたが。
「コウキの味方か! 助太刀する! 構わず行け!!
退け!! 道を開けろ! さもなくば――屍となるだけだ!!」
獣人は斧を振り道を切り開く。一切の躊躇も無く、洗練された戦争の為の動き。獣人であるが故に優れた筋力と運動能力――その破壊に一瞬見入る。
「コウキさんをお願いします!!」
アキ・リーテライヌは知っている。コウキの命の恩人で、凄く強いとコウキが威張っていたがあまりそうは見えなかった人物。だがいまのその姿は普段からは想像できない程険しい表情と必死さが窺える。
竜だとコウキが言っていた意味がその暴走にも見える戦い方から垣間見える。
故に、道は容易く――開かなかった。
オレの見る限り壱神幸輝というのはツイてる時は“生き返る”ほどツイてる。――ツイてない時は“死ぬ”ほどツイてない。
オレのやってる事は多分その生き返るほうのツイてる。こいつの受けた傷は死ぬほどツイてない。
「ん……!?」
足元が盛り上がった事に気付いて足を止めて、後ろに下がった。
丁度シェイルが走り寄ってきてバチィっと紫色を帯びた電流を走らせて青羽兵を打ち落とす。
「タケヒト――」
「シェイル! 下がれ!!」
彼女が丁度こちらを振り返ったときに、その地面の盛り上がりが一気にその正体を現す。
さらにオレは後退する事になりその突然現れたソレを見上げる。
地響きが鳴る。地面に立って居ても、空に居るものですらその異変に動きを止めた。
最初に出来上がったのは“右手”。ソレはすでにオレの身長の倍以上の大きさだ。この世界に出てこようとするように、地面を押して身体を引きずり出す。頭が出てきた瞬間は城の塔を思い描いたが出てきたのは古い時代の兵を連想させる兜を被った土人形。城壁と同じ大きさのソレは立ち上がってアリのようなオレ達を見下ろしてきょろきょろと動いた。経ったそれだけの動作で空気の震える音が酷い。
剣も兜も身体も全て土の巨兵が目の前に現れた。
「……古風なヤツも居たものだな」
シェイルが呟く。
目の前には人の形を模した土人形――バカデカイ、ゴーレムが出来上がった。当然周りの兵たちもざわざわとその土人形を見上げる。
そのゴーレムに対してなのかそれともその召喚に対して古風と言ったのかどうかは此処の世界の経験の浅いオレにはよくわからないが――、確かに余りお目にはかかれない。
そして、正直に言うとコレとシェイルは相性が悪い。得意の電気は通らない、力押しも効き辛い。戦ったあとは結構うんざりだ、と言う顔をする。
ゴーレムは一瞬緑色の光を帯びて、土の剣を持った右腕をノロノロと持ち上げる。各箇所から法術が飛ぶが、その土人形の前には無意味。パシパシと弾けて消えて、その一撃を許してしまった。
―――ドゴゴゴゴゴゴォォォンッッ!!!!
振り下ろされた土の剣は大地を容易く抉って、大地を揺らす。大地に酷い傷を負わせた巨人は再び剣を構える。
オレ達はその振リ下ろされた剣より手前、巨人の足元近くにいた為殆ど被害は無かったが――グラネダ軍はアリのように吹き飛ばされて、逃げ遅れた一隊が吹き飛んで消えた。
アリが人を見上げる絶望を知らないが、確かに――その理不尽は普通なら恐怖でしかない。
「無視して通るぞ!」
「……生憎、向こうはこちらに興味津々のようだがな」
すでにうんざり感を漂わせる声でシェイルが言う。
「大丈夫だろっ! でかいしよ! 足の下も通れる!」
「お前はわざと言ってるのか? 踏み潰されろと?」
上空には青い羽の兵士が集まってそのゴーレムの回りに隊列を作っている。よく見ると緑色の羽兵も居る。シェイル曰くこの土人形の主犯の術士達らしい。そしてどうやらゴーレムを迂回できそうに無い。
「回りも無茶だろうが! 潰されなきゃいいんだろ! 行くぞシェイル!」
「オイ! 馬鹿者っ! いくらお前でも――!」
シェイルの制止の声を無視して進みだす。これ以上ここでモタつけない。背負ってるソイツの生命力は褒めてやるべきだが、限界もすでに近いはずだ。
ズォ―――。
質量通りの動きの遅さで土人形は左足を持ち上げた。
オレ達はその足元に駆け込む。
空が見えない足元の空間は足が持ち上げられるに連れて、明るくなる。
が、急に頭上が暗くなり始めた。
「やはり罠だった……すぐに戻れば間に合うぞタケヒト!!」
シェイルが叫ぶ。
「この――っ!」
どうせ。
ソレも罠だ。戻れるから戻ったら羽の生えたヤツに囲まれてる。そんなものの相手をしてたら踏み潰される。
右手で背中につけてたオルドヴァイユの大剣を取る。
「シェイルこっちだ!! コウキ頼んだ!!!」
「はっ!? お前何を!!」
コウキが居ると、剣が抜けない。しゃがんでコウキを少し手荒く下ろすと、手早く左手でオルドの大剣を止めていた鞘の留具を外す。
そして両手で、その大剣を握って振り上げる。
「おおおおおおおおおおお!!
一式:須佐乃男<スサノオ>!!」
――ズンッッ!!!
土の巨人の足の裏をそいつにすれば細いカッターナイフの刺さったようなモノだろうがそもそも痛覚云々ではないだろう。その巨大な足を大剣で貫いて残りを衝撃緩衝と気合で受け止める。
「っ、ば、馬鹿かお前っ」
シェイルはオレの足元近くまで走り寄ってしゃがみこんでいた。「止める気があるなら言え!」と噛み付きそうな顔で言っていたがそんな事を聞いているような暇は無かった。
「シェイル!! 走れ!!」
「ッ!!」
オレの怒声にシェイルは息を呑んで、間髪置かずコウキを抱えて走り出す。
真横を通り過ぎた辺りでオレもそのクソ重い土の固まりを引き摺って、歩きだす。
「ぐっ……!! この!!」
ギギッっと岩が軋む音がする。オレが動いた数歩で足先は下に、踵は少し上に上がる。
「重いん、だよ……!!」
だが、重いだけなら――切り抜けられる。
ミシミシと筋肉が軋む。
このぐらい、どうって事は――、無い。
舐めんな――シキガミ中での最強を語るんなら、こんなのに潰されてる場合じゃねぇんだよ――!
「はあ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああ゛!!!」
ゴォッッッ!!
戦場に驚きの声が響く。
突如現れた土の巨人が――浮き上がった。
すぐにソレは次の瞬間を予想させ、驚愕の叫びになった。
「退けえええええええぇぇぇ!!!」
ビリビリと空気が振動して、小さく紫電が走る。
「二式:暴 風 のォ―――突 針ッッ!!」
ズガァァァン!! ガァン―――!! ドゴォン―――!!
一段、二段、三段、と衝撃を纏った壁がゴーレムの足を粉砕する。両足の半分までを完全に砕いて――ぐらり、とゴーレムの上半身は地上へと傾く。
オレの大剣は、ゴーレムの剣の大きさ、質量と同等と思っていい。オレ達シキガミの能力を持ってすればソレでやっと普通。
オレ達が知ってるのはシキガミとしての力のほんの一部。こんな事ができて、まだ一部だって言うんだからこっから先は手探りの競争状態。
最強なんて定義も、その過程も全て曖昧。
その中でオレが求めてるただ最も強く在る事にたどり着くまで、オレは剣を振ることを止めない。
「ちっといてぇぞ!!」
パリパリと集まってくる電流。世界が呼応する人の感情。気質に集うのは紫電の雷。巨大な土人形は四十五度ほど傾いていて、その真下側の兵士は阿鼻叫喚の地獄絵図のように逃げようとしている。
オレはただ空を覆うデカブツに剣を振るうため上半身を軽く捻り右手を左手側に引いて姿勢を低くした。
スサノオはまだ効いてる――。
その効果はオルドヴァイユ曰く、全部ぶっ潰す為の力だ、と。
オレの大剣がゴーレムの持ってる城の塔みたいな剣と同等と言える理由がソレだ。
何者にも屈しするな。理屈ごと押しつぶせ。
オレの“最強”は何を持っても揺るがない物にしなくちゃいけない――!
「三式ィ!!」
オレのたどり着きたい場所には遠い――だが世界に認められた巫山戯た暴力は此処にもある。
紫電が――剣を象り始めた。
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