第163話『道中可憐少女』



 神殿に住むようになってしばらくである。二人の新兵が神殿に配置された。
 見慣れない二人で、金色の髪をした真面目そうな男性。それと橙色の髪色でニコニコしたとても調子の軽い男性である。
 自分の部屋に招かれ、部屋を見回して赤い、と呟いた。自分が目いっぱい赤いモノを揃えた部屋である。
 
「ヴァースとアルゼマインは騎士なのですか」
「一般兵です」
「これでも強さには自信が御座います」
 十を数えたか、その程度の年齢であった私に対しても二人は敬語を使い揃って膝を地に着けている。

「ヴァンツェよりもですか?」

 当時の自分の基準はヴァンツェ・クライオンのみである。計りきれては居ないけれど彼が強いと言う事だけ知っていた。そもそも剣士に対してその質問は浅はかだったかもしれないが聞ける事はそのぐらいである。
 二人は顔を見合わせてからこちらに強い視線を投げてきた。
 そして同時にその答えを言う。

『貴女が望むなら』

 人見知りの激しい自分はその時それ以上彼らと話すことが出来ず、そうですか、と頷いて彼らとの話を終えた。
 彼らはヴァンツェとは戦わなかったが、その年すぐに迫っていた武術大会に出場した。武術大会は一度見たことがあったが、何となく怖いものだと認識していたのでその一度以来見に行った事は無かった。
 だが、予選の終わったその日に二人が私をその決勝トーナメントに誘った。現在のように二十人枠では無かったが百数十人という中で十六人と言う枠に残った。
 二人が言ったのはこうだ。

「貴女の為に私達の戦う決勝戦をお見せします」
「どちらが勝ってもその勝利は貴女の為に」

 ヴァースとアルゼマインは見事に逆ブロックの両端。騎士や名の在る傭兵が出揃う中を勝ち抜いた。その年は、バルネロの遠征中という事もあり見事、その二人はトーナメントを勝ちあがった。
 戦いの熱に見惚れたのは初めてである。手に汗を握ってその二人を小さな声で応援した。その声が届く事は無かったけれど、勝つたびにこちらに一礼と笑顔を送ってくれた。

 その時、ヴァースとアルゼマインがわたくしの護衛となった。
 兵士時代の時は随分と構ってもらった記憶が在る。騎士隊長となってからは疎遠であったがたまに非番の時に遊びに来てくれたり、遠征のお土産などを貰ったりしていた。ヴァンツェとスカーレットを親と言う近さで呼ぶなら、彼らを兄と呼ぶ事もできるだろうか。そういった親しみのある人だ。
 ――だからこそ今回のアルゼマインやカルナディアの事は悲しく思う。




 馬が疾駆する道中。空は曇っているが月のお陰で明るい。大きな月は雲があってもおぼろげに明るい光を通してくる。走る馬はリズムが響いて風に靡く布の音がバサバサと耳に響く。夜に走るのは寒い。馬上にいて風を浴びると凍えてしまう。
 ヴァースの背に乗って背中から抱きつくように乗ってグラネダへの道を急いでいた。

「その、失礼かもしれませんが」
 彼は少しだけ後ろを向いて声を流した。
「はい?」
「道中何か酷い事をされたりしませんでしたか」
 純粋に心配してくれているのだろう。それは良く分かったので軽く微笑んでそれに答えた。
「いえ、それほどには……」
 そう、さして大きなことはないと言える。道中の彼女らはいわゆる普通にこちらに接していたのだと思う。優しい奴隷商人に騙されるような真似は愚かだと思うが、コウキならそこをさらに突き抜ける事ができたかもしれない。
 気になったといえば妙に魔女に構われてしまったことだろうか。
「強いて言うなら魔女に無理やり着替えさせられそうになったぐらいです。道の真ん中で身ぐるみを剥ごうとするので」
「……それは……なんといいましょうか……」
 言葉に困るヴァースに苦笑する。確かにこれはなんとも言いづらいというか、普通に嫌だと思う。
「暴れて嫌がったら、魔女が拗ねまして」
「……え?」
 気の抜けた声がヴァースから聞こえる。確かに変な話だと思う。あの人は案外悪役には向いていないのかもしれない。法術で強制的に黙らしてくるなどという事をするのかと思っていたらそうでもない。読めなくて本当に困る魔女だった。
「六天魔王が宥めて、機嫌を戻した後、たっぷり嫌味を言われましたね。
 お転婆、お転婆と」
「子供じゃないですか……」
 語尾にお転婆をつけて話しかけてくるのだ。今度は貴女が拗ねる番ですね、とくすくすと笑われたのがまた気になった。
「でも、もしわたくしにコウキのような順応性があったら一緒に食事をして笑っていたかもしれません」
 対応が酷い、と言うほどではなかった。食事は作ってくれていたし、話し相手もしてくれていた。こう聞くと一方的に拒否していたわたくしが悪いように聞こえるが、誘拐された立場である。待遇がよかった所で戦争に使われるぐらいなら四六時中逃げる事を考えていた方が幾分かマシだったのである。
 その中でもグラネダ騎士達は自分に良くしてくれたように思う。寝ない私にも毛布をかけてくれたり、馬の上でうとうとしている時は片手で支えてくれていたりと致せり尽せりだ。
「アルゼマインも……操られていても紳士でしたから。馬上では気遣ってくれていましたし。
 カルナディアも夜になると近くに居てくれましたし」
 話しかけても反応はしてくれなかったが、まぁ男性に見張られるよりはずっと気が楽だったと思う。
「……複雑です」
 ヴァースは苦笑いを含めてそう言った。
「ですね。でもあの二人は助けたいです」
 そう言うと真剣な雰囲気のまま頷く。
「そうですね……あまり酷い事をしていなければいいのですが。さすがにこちらに被害が出始めると庇いきれない」
「ええ……あの二人が敵ですから被害が出ない事を考えないというのは無理ですよね……」
 しばらくの沈黙のような時間が流れた。馬の足音がやけに大きく聞こえる。
「……もし間に合えば……。私やロザリアで押さえが効いてしまえば話は楽なのです。問題は一般兵や総隊長、ましてや国王に手を出したとなれば……」
「お父様は……多少の問題は気にしませんよ。恐らく逆にわたくしが謝らなくてはいけないかもしれません」
 わたくしのせいなのは分かっているが、
「あははは、リージェ様は心配性ですね」
「いえ、お父様の暴性はヴァースならばよく知っていると思うのですが」
「ええ。あの二人はああ見えて頑丈ですから少しキツイ灸かもしれませんが丁度良いと思います」
「そうですね……国王様も王らしく後ろに居れば良いと思うのですが」
 これはもう皆が散々言っている言葉で、出陣の度にいつ後ろになりますかと聞くのが恒例行事らしい。言われるのがしゃくなのか出しゃばりなのかは良く分からないがあの人は未だに先陣を切る。そして殿を歩く。普通ならありえないかもしれないがが最強国家の鉄拳王は健在なのである。
「そうですね。でも王曰く、動いていないと死ぬとのことですよ」
 騎士たちは皆ハラハラしていると言うが名持ち英雄の鉄拳王は陥落しない。

「コウキのようですよ全く……」
 そう言うと少し笑えた気がした。重苦しい空気がはれていく気がする。
「あの二方はどこと無く似て居ますよね」
「同郷だからではないですか? シキガミという事ですし」
 コウキはあの性格というのもあるが。二人はもしかしたら似ているのかもしれない。お父様があんなにも笑うのはコウキが来るようになってからだ。

「そういえば前、王様とコウキと一緒に話した事があるのですが、らーめんやなっとうという話が出るのですが知っていますか?」
 ヴァースが不意にふとそんなことを聞いてきた。
 騎士と王女の会話としてどうなのかとも思うが、こんな時だからこそ世間話も必要だと思う。
「らーめんはパスタに似ている汁付き麺ですよ。でもなっとうはよくわかりません。謎です」
「なんでも醗酵させた豆だとか。チーズのように癖が出るらしいですよ。好き嫌いは激しいものになるとかなんとか」
「うーん……想像に難いですね……といかヴァース」

 何故わたくしは一流騎士と謎の食材について話をしているのだろう、と言う疑問はさて置き。

「はい?」
「これはアレですか。わたくしのお腹をすかせる作戦ですね?
 ええ受けて立ちますよ既に決着は付いていますがっ」

 食事に関しては全くしていない。駐留地にいる時に何か食べさせてもらえばよかったのかもしれないがそう悠長に考えるような時間も無かった。
 正直に言うとコウキやアキの料理を思い出してきてお腹が空いてくる。
「あははっ戻ったら一度簡単に食事を摂られると良いと思います」
「そんな時間は無いと思います……」
 しばらくバタバタする。休憩のときに少しだけ持っている乾物でもお腹に入れておくべきだろうか。
「では戦争の終わりにスカーレットさんに振舞っていただければ良いかと」
「戦況によっては戻れませんけれど……コウキやアキの料理も食べたいですし」
「あの二人は料理が美味いと聞きますね。ヴァンツェ様も絶賛でした。旅に飽きない秘訣にもなっていると」
「はいっとてもっ! 聞いてください、食事はあの二人が毎回拘って美味しいものを作ってくださるので旅をしている間とてもご飯時が待ち遠しいのです」

「食いしん坊になられましたね」

 心にがーんとショッキングな音が響いた。
 仲間達に聞かれていたら数日からかわれてしまっているレベルだ。それでもヴァースに言われてしまったショックは大きい。

「ち、違いますっ! 食いしん坊じゃないですっ」
 必死にプルプルと首を振ってみる。彼はカラカラと笑うだけだ。
「失礼しました。確かに自分で歩く旅なら食事は美味しいです。でも気になりますね。リージェ様のお眼鏡にかなう料理とは」
「もうっ。コウキもアキも美味しいものが元気の元と豪語して日々フライパンを取り合っているのです。実力伯仲、切磋琢磨の中で作られる料理は挑戦的で面白いです。
 たとえばコウキはあまりお肉を使いません。山菜やお芋といった長持ちする食材で旅をまかないます。基本的にはお米を美味しく食べるおかずを作るか、です。あとは乾麺ですね。それでらーめんというのを一度作ってもらったことがあります。驚いたのはすすって食べるものなんですって。行儀の悪い食べ物なんだーってコウキは笑っていましたけど、確かにフォークで麺を巻いていると、伸びてしまいましたね。つゆに入れっぱなしして食べるものでして、それでそういう食べ方をするようになっているのだと思います。
 アキは味付けを細かく変えてきますね。基本的にはパンとスープのオーソドックスなものですが、添えつける野菜のドレッシングのレシピを沢山持っていたり、いろんな種類のサンドウィッチを作れたりします。道具さえ揃っていればパイやドリア等も作ってくれます。特に特製ソースにつけて焼いたアキ特製のものお肉が美味しいです。それに魚、そう、魚の漬け焼きですね。これがまた絶品なのです!」

 言い切ってしばらく、馬の足音だけが響く。
 とても夢中になってしまったが物凄くどうでもいい話だ。しかもヴァースに対してそんな内輪話を延々と聞かせてしまったと言う事になんだかとても恥ずかしくなってくる。

「リージェ様」
 聞きに徹してくれていたのかもしれないがこのタイミングで呼ばれると気まずい。
「……はい?」
 恐る恐る返事をしてみたがヴァースはクスクスと笑っていた。
「これはアレですか。私のお腹を空かせる作戦ですね?」
 同じ文言が返ってきて笑えた。
「――……ふふ。兵糧攻めです」
 コウキと話していて思う事は、彼は人のこういった茶目っ気を出させる言動が多いこと。
 意識して倣ったわけではないが今の夢中な発言はそれに近い。

「食べる子は育つって言いますよね」
「寝る子では……ってヴァーースっ」

 本日二度目のショック音が響く。からかわれている……!
 このままでは食いしん坊神子として皆にからかわれる日も遠くは無い。いやまぁそれは無いとは思うけれど。なんだか物凄く恥ずかしい。
 逃げたい衝動に駆られたけれど馬上である。うぅーと唸るだけで自分にはどうしようもなかった。

「っははは、失礼、あまりにも楽しそうだったもので。いや美味しそうではないですか。
 そうやって旅の合間に心にゆとりが出来るならさらぞかし楽しい旅なのでしょう。羨ましいですね」
「うぅ……はい、その、すみません、はしゃいでしまって」
 もっともコウキは威厳云々があまり好きじゃないらしく、そういうもの言いで人に心を開かせる。統制の中には余り必要なくて、口を開くほどに威厳とは程遠いものになる。それでも彼に付くものは後を絶たないのだけれど。
 とはいえ自分が倣いすぎるのは良くない。年相応の事、と言われればそうなのかもしれないが、一応国のシンボルと言われているので自覚は持っていなくてはいけないという自負はある。
「いえ、そんな貴女が見れて嬉しいですよ」
「うぅ、また辱めを受けている気がします」
 やはりあまりヴァースの前ではしゃぐものではなかったかとちょっと後悔してみた。
 だがヴァースは私を辱めているわけでもなく、ただ安心しましたと言った。
「……コウキの話となると、とまらないのですね?」
 頬辺りに熱が溜まったのが分かった。急いでそれを振り払うようにぶんぶんと頭を振る。
「そ、そうん、なことはないんですっコウキでもアキでもヴァンツェでも止まりませんっ」

 旅を始めてからと言うもの、話題には事欠かなかった。本当に誰のことを話したってとまるわけがない。コウキとアキの暴走というかあの二人は半ば天然で暴れまわるので本当に目まぐるしく振り回される。
 話せる事は嬉しいと思う。アイリスにも話をしたけれど気付いたら夜だったというぐらい話し込んでしまう。それはまぁアイリス相手と言うのもあるのだろうけれど。酷く楽しい。

「変わられましたね」
 風に紛れそうになりそうな声でそういった。ヴァースからするとそんなにも変わって見えるのだろうか。
「そう、ですか?」
 変わった事は認めるが言われるほど違うのだろうか。だとしたら何処なのかが気になる。
「ええ。失礼かもしれませんがこんなに楽しそうに話すことは以前は無かったように思います」
 それは日々の体験談のせいというか。仕事の話はあまり面白く聞こえないがそれ以外やっていなかった。話の幅の狭かった自分にはアレ以外の話ができなかったのである。
「……確かにそうかのかもしれません。ですがそれはわたくし自体に話すような体験が圧倒的に少なかったからだと思います。連れ回されて分かります。わたくしの小さな世界ではこんなに楽しいと思えることはありませんでした。
 でもあの場所世界に居たからこそ、貴方達に守られていたこともわかりました。変かもしれませんがお礼を言わせてくださいヴァース。ありがとうございます」
 行動範囲の制限や出来る事の制限はわたくしを苛める為ではなくて守る為だった。外に出てから楽しい事も辛い事も多かった。それこそ今回のように心苦しい事も起きてしまう。コウキには謝らなくてはいけない。聞いた所、お父様に殴られたというのもあった。今は軽く生死も心配している。
「恐れ多いです。私どもが貴女の為に出来たことは少ないです。
 そういった意味ではコウキには嫉妬すら覚えますね」
「まぁ、ふふ。彼がズルイと言うのは全員の共通認識かもしれません」
「もし私がシキガミで……彼が騎士だったらどうなっていたでしょうか」
 それはただの妄想で、現実にはありえない。
 だからこそその役割の時の誰かを考えるのは楽しかったりもするのだが。
「わたくしは構って貰えたかどうかわかりませんけれど。彼は忙しい方ですから」
「そうでもないですよ」
 それなら嬉しい。
 もしかしたらアキがわたくし付きの護衛役を持っていたかもしれない。彼は人を誘い込むのも上手いから。まずは軍で基礎を身につけてから竜士団を作ればいいなんて適当に理由でもつけて。想像すれば果てなくて、どう考えても楽しい。
「そうでしょうか。そうですね、だったら、神殿厨房に入り込んでいろいろ作ってくれたでしょう。城下神殿帰りに変装して、城下の色んなお店を歩いたかもしれません。
 軍規は誰にも知られなければ破ってしまっていいんだーとか言って……」
 流石にそこまで無責任な事は……うーん。微妙な線である。もししなくてもこちらから頼んだ場合は快諾してくれそうだ。
「……ありえますね……」
 軍人だと本当に大変なのに。彼が居ると更に騎士団に色が付きそうだ。
「シキガミが貴方だと物凄く非難を浴びたでしょうね。主に女性に。ヴァンツェと一緒に連れまわすんですからそれはもう目を引いてしまう。ああ、もちろん一番真面目に旅は出来たと思うのですが」
 転がるような日々ではなくて、安心して旅にいけたと思う。
 守られて――どうだろう。今のような自分になれただろうか。それは……いやきっと違う自分だろう。
「ははは……適所適役なのかもしれませんね」
 彼はそう言って笑ったけれど――この話の意味はなんだったのだろうか。コウキの話していることの意味ならば、問うのは馬鹿らしいと彼に笑われてしまうけれど。

「最善を尽くしましょう」
 どこか決意のように聞こえる声がした。
「はい」
 それに強く頷く。

 首を傾げて見えないけれど彼の顔の方を見上げる。馬が少し速度を落とした。流石にずっと同じ速度は出ない。それに少し丘を登るところで、さらに降って行く道のりも長い。この辺りで速度を遅くして少し休憩させるのだろう。

「ところで」
 そういえば、という風に彼は言葉を投げた。
 馬の足がゆっくりになったので風も少なくなって声も通る。辺りは夜で、自分が灯している炎の光以外は月明かりしかない。
 ルーメンは色々な荷物を入れる革のバッグの中に入っているが、今は顔も出していない。一応中には布を敷き詰めてあまり負担が掛からないようにしてもらったつもりだ。ダメだったら出てくるように言っているが馬に密着しているのは案外快適なんだろうか。遠乗りとは言っても城に帰る為であるので余計な荷物は殆ど補給隊に預けてきた。
「はい?」
 こちらも何となしに答える。空気が冷たいが今は楽しいので気にはならない。
「コウキは……貴女にとって――」

 少しだけ息を呑むような間をおいて、ヴァースはとんでもない事を聞いてきた。

「男性として。恋すべく者として存在していますか」

 逃走衝動が疼く。馬上の自分には逃げ場が無い。幸いなのは顔が見えないことか。
 でも、それから逃げるのは――良くない事だ。
 今回自分を陥れた穴で。誰にも踏み入られたくないからと幻想のままに仕舞っておいて守り続けている理想。壊れるのが怖いから――ずっと仕舞っておくつもりだったけれど。それでも壊れてしまう。それも、最も最悪だと思うあの人を傷つける形で。
 ならば勇気を持つべきだと思う。後悔を残すような事をしてしまっては、自分から遠ざけてしまった彼に申し訳が立たない。だって彼はこんな自分を信じて助けてくれると言ってくれた人なのに。
 息を呑んだ。言葉にできそうな気がする。
 沈黙の合間に意を決する。想いを――言葉にする事にした。

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