第204話『いくじなし』
朝早くに城を出る一団に気付いて急いで寝る前に準備しておいた小さな紙を持って走り出す。走りながら手紙を織り込んで小さい授業中に良く行き交ってる四角い形にする。俺には基本的な奴しか折れないけど、女の子達はハートとか、タケノコとか折ってた。スゲー奴はなんかもっと芸術的な領域に辿り着いてた気がする。
その中身はというと、糠床レシピである。ムラサキに教える用に書いて今日渡そうと思って起きては居たのだがこんなに早くに出て行くとは思っていなかったので油断していた。
朝の準備運動をして隊練に加わろうとしている所でその一行を見つけて、ダッシュで部屋に戻ったあと城門でムラサキを捕まえた。朝から元気じゃねぇ、とムラサキはクスクスと笑った。
「ちゃんと糠床作ったらかき混ぜるんだぞ。毎日混ぜないと状態見れないし、忘れるとカビちゃうから」
「ありがとねぇ。早速帰ったら作ってみるわ」
「良いって事よ! あんまり日に当てないようにね」
タッパーでもあればすぐ渡せたんだけどなぁ。それ代わりにレシピを渡す。受け取ってすぐ不思議そうにそのその小さくなった手紙を見ていた。
「それ此処を引っ張って開くんだ」
「わぁ。凄いねぇ! どうやって畳むん?」
「こうやって折り込んで……此処に差し込む」
説明が終わった瞬間に突然俺とムラサキの間にクレナイが割って入ってぐいっと遠ざけた。そのまま自分は彼女に抱きついてべぇっと此方に舌を出す。
「近いんじゃボケェ! ムラサキが穢れる!」
「ひどっ手紙の畳み方教えただけなのにっ」
「もークレナイ、折角教えてくれよんじゃけぇ」
「あー、いーよ。また来いよなー」
ホントにもー、と笑う彼女に釣られて俺も笑う。
和やかな空気にプルプルと拳を握ったクレナイが叫んだ。
「何なん!? このお隣さんみたいな空気何なん!?」
「クレナイも一緒に覚えようねぇ」
ムラサキは――なんか思ったよりほんわかしてる子だった。ゴテゴテした服の割には和食愛が溢れている。普通にレシピも喜んでもらえたという事は料理もするんだろうし、いい事した気になった。
ご機嫌な笑顔に釣られてクレナイが頷く。
「う、うん……ってオイ! おかしいのコイツじゃし!
お前のせいでムラサキの脳が発酵するんじゃー!」
指された指先の線を追いかけて振り返ると、灰色の壁があった。
「えっ。俺の後ろ壁しかないぜ」
「お前じゃああああ! 男子厨房入るべからずなんじゃぁ!」
「別に茶屋とか蕎麦屋に男が居ない訳じゃないだろ? 料理が得意な奴ぐらいいるぜ」
そういう糠床とかヨーグルトとか、おいしく増えるものに関してはウチは割と好きで作っていたのだ。
「随分と仲良くなったようだな」
俺達を不思議そうに見ていた神子が顎に手を当てたまま喋る。
「あーもう! クレナイがもう主婦仲間じゃ」
呆れ居ているのか感心しているのか分からない顔でへぇ、と頷いた。
「お前等は割とそういうとこ生活感あるよな……」
「はよー帰ろ不良坊主、これ以上おったら変な菌がつく」
「はは、そうだな。すまない、二人が世話になったなコウキくん」
どうやら名前は覚えてもらっているらしい。坊主と言う割にはロンゲだが、確かに僧の服に見える。態度も普通で特別敵視をしてきていないので俺としては好意的に接する事ができる。
差し出してくれた手に握手と挨拶を返す。
「いえ、こっちこそ。おにぎりもうまいって言って貰えたし」
食事を美味いと言って貰えるのは作り手冥利に尽きる。夜にナベでコトコト米を炊いた俺が報われる瞬間である。まぁそれ以外の事はあんまりして無いけど。
俺が挨拶を終えて二人に視線を戻すとクレナイが驚いたような顔をして視線をそらした。
「うぐ……」
「……ねぇ、クレナイ、ちゃんと言おう? 後じゃ言えんよ?」
「なに?」
「や、昨日の――」
「む、ムラサキ!」
「じゃあ、自分で言いよ?」
ムラサキの言葉を受けてしぶしぶ、といった風に頷くとキッとキツイ視線を俺に向けた。どんな言葉が飛び出してくるのかと思って身構えたが、みるみるうちに威勢を失っていってうな垂れた。
そして小声でブツブツと何かを言っていたので「えっ?」と聞き返すとこっちを見て恨めしそうにもう一度繰り返した。
「……その、昨日のおにぎりはおいしかったから……投げたのはちゃんと謝る。ごめん」
ああ、あれか。ポンと手を叩くと、ガッと足元を蹴られた。痛くは無かったので笑う。
「あっはっは! 許すよ。もう食べ物を粗末にしちゃだめだぞ〜」
「うっさい! せんし! つか子ども扱いすんなぁぁ!」
「あっはっは!」
「もう帰る! 帰る!!」
クレナイは顔を真っ赤にして馬車に乗り込んだ。
分かりやすい奴め。思ったことしか言ってないのが分かるから付き合いはしやすい。この一年で俺もいろんな人に揉まれて来た。もみくしゃにされた。多少は、俺がいじる側に回ったっていいじゃないか。
「それじゃあ、ありがとね」
軽く手を挙げて見送りながら、ああなんか普通の子も居てよかったなぁと思う。
馬車はカラカラと音を立てて走り出す。窓の向こうでもムラサキは小さく手を振ってくれた。
「うーんいい子だったなぁ」
どうやら皆がみんな戦闘大好き野郎じゃなさそうだ。
あの分じゃ戦うのはクレナイの方かな。まぁ部分相応ってあると思うしそれはそれ。
「コウキ」
後ろに人の気配を感じて振り返る。丁度金色の髪の毛が目に入って視線を下げると、この敷地内で良く着ている白基調のドレスを着ていた。少しムッとした表情で俺を見上げる彼女に俺は笑って手を振った。
「お? お早うファーナ。シキガミにもやっぱいい子居るよ」
「コウキは悪い子です」
「え?」
「だから、何故神子の居ないままに相手に会いに行くのですか!」
「だ、大丈夫だって、こっちの敷地内だぜ?」
一応向こうが問題を起こせば協定が危ういという話にもなる。まぁ俺らの戦いってぶっちゃけ子供のやっている喧嘩に似てる。他人が見れば外でやれといいたくなるのが巻き込まれる側である。
「ほ、ほら、一応偵察も兼ねて! た!」
「ふぅん、ではちゃんと成果があるのですね?」
「うー、ハンマーが武器らしいよ。一番当たりたくない相手だと思ったね」
殴打で殺されるって普通に痛いし嫌だよね、なんか。
「……それで?」
「二人ともハンマー使えるらしいぜ。怖い怖い」
「それ……テキトウに話してるうちにテキトウに貰った情報でしょうっ。
しかも絶対貴方自分の武器の事は漏らしたでしょう!」
「あっはっは。俺はスパイ向いてないからなー」
「全くですよ……それより隊練はもう始まっていますよ」
「あー! まぁ、多分用事があったって言えば全然大丈夫だけど。
じゃあ、俺隊練出てくる! あっ」
「はい?」
「ありがとな!」
ファーナが来たのは俺のフォローの為だ。割とたまたま居ただけかもしれないがお礼は言う。何のことかはすぐに分かったようで彼女は笑って手を振った。
そんな爽やかな事情とは裏腹に俺は朝の青空が広がる空の下に集まるガタイの良い男たちの群れの中に早々に紛れ込む。俺が遅れて怒られる道理はないのだけれど、あまり優遇されるように見えるのもよくない。俺は走って隊練に合流すると朝の運動を始めた。
騒動の次の日、俺達は旅立つ事になった。騒動といっても一部の話で、あの事は城内には広がっていない。最上階で小火騒ぎがあったという程度の事になった。
そしてきっちり本日付で、ヴァンの城からの離職が決まった。今朝の教会には行かなかったみたいだし、私物は色々と後輩や跡目の人たちに渡していっていた。持って行くものは決まっているようで、何時も出て行くときと変わらない大きさの荷物だけを持っていた。部屋の片付けをするスゥさんは上の空みたいで何度もぼーっと立ち止まる姿を見せていた。
だってヴァンがそれを伝えたのは今朝だ。いつもの朝食に入る前に――何気なく、その日常の終わりを告げた。
そんなに簡単に置いていけるものなのかと俺も思った。
「で、どう納得すればいいですか」
ファーナが普通に怒っている。まぁそれは当然の事で昨日自分に牙をむいた者と一緒に旅をするといわれれば誰だってそうなるだろう。
片付けの終わりに休憩にと座ったソファの向かい側にはヴァンとロードさんが座っていた。ロードさんと向かい合っているのは俺だけど、無言で四人分差し出された紅茶を早めに飲み終えた後から空気が悪くなってきた。最初に堪らなくなったのは俺で、ヴァンがそれに答えたあたりでファーナが爆発した。俺は悪くない。
それに今回の此処を出て行く件についてもまだ納得がいかないようだ。確かに残念な気もするけど、卒業と同時にみんなバラバラになるのは分かってて、止められないみたいな気持ちだ。俺は先に進む誰かの邪魔はしたくない。遠くに行くならたまに帰ってきたときに顔を出して欲しいものだと思うぐらい。そういえばそういう話をすれば決まって卒業までに携帯ぐらい買えと皆に言われていた。懐かしい記憶である。
「昨日の敵は今日の友ですよ」
「背中を預けるのは確かに怖いね」
ただヴァンに任せて眼を閉じて俯いていたロードさんがスッと顔を上げた。相変わらず前髪が長くて、実は目の下の隈が濃いことに気付いた。俺自身が面と向かって話す機会は少なかったから顔はあまりみれて無かったのだ。
「……安心するといい。それには制約をかけてある。
私が君たちに危害を加えようとすると、この首の輪が締まって――死ぬ」
「何をどう安心したらいいの!?
なんでそんな物騒な首輪つけてるの!?」
西遊記の孫悟空もびっくりな作りだ。チョーカーか何かだと思っていた黒い首飾りは、実は酷い制約つきの首輪らしい。
「……これをつけているのは当然の事だろう。
私の信用に関して、弁解はできない。謝った程度では許されない。
私は今回彼の辞書として同行する。それ以上は何もしない。所有権は彼にある」
「ヴァンツェ、どういうことですか」
「彼女がそうしろと言ったのです」
「……これで足りないなら、喉を潰してくれ。詠唱が出来なければ術は使えない。意思疎通が多少面倒になるが……」
「それは償いではありません!」
「……」
「いいですか。わたくし達は貴女を痛めつけて何か良い方向に動くとは思いません。
貴女があの時の罪を認め、謝罪をするのならそれを受け入れます。
信用は確かに今はありませんが、積み重ねることは出来ます。
そもそも人と触れ合う時に自分を物の様に考えてはいけません。ロードも人であり知識者であるなら――」
ファーナはこの中で一番年下である。でも説教をさせれば一番長く語るのも彼女である。ヴァンの薀蓄も大概だけれど中に色々なものの区切りがある。途中の質問に律儀に答える語りすぎる先生が脱線していくのは致し方無いのかもしれない。
しかしこの説教の差を言うと、淡々と自分の駄目なところとその先を語られる何と無くつまらないアレである。それを説教されている者が言っても、言わせているのは自分だと説き伏せられまたつらつらとつまらない正論を聞かされる。
連ねられる言葉のうちに早く終われと苛立ちがこみ上げ、反論した所で説き伏せられ、どうでもいいから早く終われという心境の後に疲弊して、何かを悟りかけたあたりで声が掛かる。
「わかりましたか?」
「……はい……すみません……頑張ります……」
心折れるように謝ってやっと彼女の満足いく所にオチがついたのだろう。ファーナが満足して頷くと彼女のよろしくお願いしますと手を差し出した。
その光景に至るまでに俺は一回部屋に戻ったし、ヴァンも人に呼ばれて別件の話をしていた。時間を負うごとにロードさんの顔に無が宿り始めるのはなんか共感できた。
ファーナがそう決めたなら俺も一緒に行く事に異論は無い。
前衛が欲しいなぁと思わなくも無いけど、これから行くのは別に戦いを必要とする場所ではないようなので俺が警戒していればいいだけだろう。ヴァンも居るし大丈夫だと思うけど。
説教の終わりに、昼食の用意ができたと知らされた。スゥさんはいつも通りにここの手伝いが終わった後は昼食を作っていたようだ。日はすっかり高くなってしまっている。
「なぁ、ヴァン。今日ホントに出て行くの?」
「そうですね」
「……もう一日待たない? ほら俺剣とかいい感じに磨いときたいし」
「毎日手入れはしてるって言ってたでしょう。……コウキ、余計なお世話はいりませんよ?」
小声でヴァンに釘をさされる。
「ぐ……」
俺の良く分かる空気の読み方講座はここで終了。
……確かに俺が何を知ってるわけでもない。二人の平和な時間を見て、絶対スゥさんには言いたい事があるはずだ。そんな時間も無いなんて――そう思ったのだけれど。
もういつも通りに振る舞っている彼女をみると本当にただの俺の余計なお世話なのかもしれないと思った。こういうのに上手く首を突っ込める性質じゃない俺は、早々にヴァンの言葉に頷いて置く事にした。
食事はテーブルにつくと順に並べられる。本気でいつも通りだ。最後だからと言って張り切るわけでもなく、何か挑戦された味なわけでもない。
俺は今、料理よりもとても気になる光景を目にしている。
色とりどりで美味しい料理を作ってくれるスゥさんだが、今日は多少の力仕事もありつかれている皆を労ってか少し味の濃いものを多く作っていた。この牛か羊かよくわからんパング肉を使ったソテーは俺も好きだ。一度絶賛した覚えがある。
料理のメインになるのはパスタだ。湯気の上がる出来立てでとても美味そうなのだが、それを一番ガツガツと食べていたのはロードさん。
俺は唖然とその光景を見ていた。
年季の入った濃い茶色の長机に座る四人。ヴァンの隣に座るロードさんにモリモリとスパゲティが盛られる。それをフォークとスプーンをつかっていっぱいいっぱい取り皿に移すと黙々とそれを食べ始める。
え、それ食えるの? 俺の倍ぐらいあるよ? え? つかロードさんってこう、恋敵ポジションなんじゃないの? めっちゃいい顔でおかわり頼んでるんだけど。
「よ、よく食べるんだロードさん……」
「……ん? そうか?」
飲み込んでから不思議そうに首を傾げた。それに答えてくれたのはその隣のヴァンである。
「普段研究に没頭し続けているのであまり食べないみたいですから」
「身体に良くない!」
俺の渾身の叫びにヴァンが笑う。
「ははは、そうですね、コウキが傍に居ればご飯の提供だけは定期的にされそうですよね」
その後に言葉を続けたのはまた新しく山盛りにパスタをロードさんの皿に盛り付けたスゥさんだった。
「ただ、読書中の彼女に食べさせようとすると、介護レベルの世話が必要になります」
スゥさんに言われている間もただ黙々と食事をするロードさん。
「あれ、もしかしてロードさんのお世話係だったことがあったりするの?」
「はい。わたくしは本当に最初の一時期ですが……」
「……スゥの料理だけは、いくらでも食える」
謎のガッツポーズだけを見せてまたもりもりと食事を食べ始める。ちなみにあまり食べ方は綺麗じゃない。入るだけ頬張ってげっ歯類のように食べている。口の周りについたソースをたまにスゥさんに拭われている。年齢的には同じぐらいに見える外見なのに親子のように見えた。
でも、ああ確かに二人ともずっとこの国に居るわけだし、ヴァンがやったって言っていたその記憶の修正の後は普通に世話をする人間と一緒に居たことになる。
スゥさんがそれに割り当てられるのは自然な事か。何と無く今と変わらない風景で世話をしていたんだなぁと想像できた。
さっきまであったギスギスした空気は無くなって、談笑しながら食事をしていた。
その中で何気なく今更気付いたが、多分皆の好きなものが一つずつテーブルに乗ってるのか。
だから皆機嫌が良い。自然すぎる気配りに感動しつつデザートのショートケーキのイチゴをファーナのケーキに乗っけた。
「俺の勝手な見立てだと、スゥさんとロードさんはあんまり面識無いと思ってたけど全然俺が甘かった」
「そうですね、貴方が生まれる前に二人は出会ってますからどうしようもないですね」
「食後のお茶をお持ちしました」
そう言ってスゥさんはその場で俺達に紅茶を淹れ始めた。
いつも茶葉の配合の割合は変えているらしい。俺はグラム違いのお茶の味は分からないけどあまり不味いと思う組み合わせには当たった事は無い。それだけ研究しながらお茶を出しているスゥさんには何時も驚かされている。
皆が上機嫌にそのお茶を啜っていると、厨房からまたカラからと給仕台の動く音が聞こえた。そしておもむろにロードさんの近くで止まると銀の蓋で覆われた皿を彼女の近くに置く。そして徐に銀の蓋を開けると――。
「食後のパスタです」
ガタンッと俺が立ち上がろうとしたけど意外と椅子が引けなくて勢い良くテーブルにぶつかった形になって悶える。
「行儀が悪いですよコウキ」
大丈夫ですか、とファーナが俺を気遣ってくれた。
立て、立つんだ俺! ツッコミ所が特攻服を着てやってきたんだ、突っ込んでやらなくてどうする!
「まだ食ってんの!? 食後じゃないよ! 全然食事中じゃん!」
「……何を言っている。食後のパスタも上等じゃないか」
「全部主食じゃん!」
「……ではデザートのパスタはどうやって存在すればいい」
「無いよ!!」
デザートはお菓子類の事だよ多分! 甘いものはおなか一杯でも食べられるらしいし。
俺の渾身の突っ込みはさて置き、ロードさんは盛られたパスタを嬉しそうに黙々と食べ始める。
その姿を満足げに見て、スゥさんがヴァンの近くへと歩み寄った。
「――ヴァンツェ様」
やっとその時がきたか、と思ってなんか安心した。
ヴァンに一言いってやれば言いと思う。
「……お、お茶のおかわりは……?」
――え。
俺の想像は外れ、彼女は彼にそう聞いた。ヴァンは小さく首を振って遠慮してその言葉に身を引いた。
――そうじゃなくて。ほら。
行かないで欲しいとか。帰って来いとか。
もっとあるじゃないか。
此処はヴァンの帰って来る場所なんじゃないのか。
そう思ってたのは俺達だけなのか。
その光景が終わって少し時計の秒針が二、三回動くような間があって、もぐもぐとパスタの上に乗っていた大きなミートボールを咀嚼するロードさんがスゥさんの背中を見上げた。
「……まだ、治ってないのか“いくじなし”」
そう言って、スゥさんの背中を強く押して、ヴァンに押し付けた。
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