42.満ちる水

「ヒメちゃん―――」

 どうしよう。
 今、あわせる顔無いのに。
 まだ、できてないのに。
「何で」
「うん。みやちゃんに、会いにきたの」
 何があるというのだろう。
 私に会って。
 黒い、モヤが溢れてくる。
 出てくるな。
 隠してたのに、溢れてくる。
 出てきて欲しくないのに。

「私と何を?」
 凄く棘のある口調でそう言った。
 卑屈で、ドロドロした感情が流れ出てくる。
 嫉妬とか劣等感とか憎しみとか。
 そんな私を感じる。
 だから、ヒメちゃんの真っ直ぐな瞳が怖い。
 今の私を見て欲しくない。
 だから私は廊下に立ち尽くしたまま目を逸らす。
 ヒメちゃんは畳の上に正座したまま真っ直ぐ私を見ている。
「涼二の」
 彼女の言葉を聞いて、思い切り目を逸らして叫ぶ。
「涼二の―――! いま、リョウジの、話を、しないで……!」
 崩れてしまう。
 自分が。
 自分って、だれだっけ。
 それでも、いいような気がした。
「みやちゃん」
「いや……いやだ、やめてよ……」
「……それでも、あたしは、みやちゃんとこのままなのが……ヤだ」

「もういいじゃん……っ
 私が、我慢して、泣かずに、このまま笑ってればいいんでしょ!?
 寝坊しそうになりながらおきて!
 みんなと朝登校して!
 授業を受けて!
 ヒメちゃんとご飯食べて!
 学校が終わったら帰るの!
 帰ったら少しだけ予習とか復習して!
 テレビ見てメールして寝る!
 あとはそれを毎日繰り返すだけじゃん!
 何も変わらないでしょ!?」

 涙が溢れる。
 ヒメちゃんの顔がぼやけて見えない。
 だから、ゴシゴシと涙を拭く。
 そしたら彼女は―――私と同じように、泣いていた。

「―――……あたしは涼二が好き。最近ね、やっとそう思ったの。
 涼二の前じゃまだ言えてないんだけど。
 すももとか。適当に誤魔化す事がなくなってね、やっと。
 みやちゃんのお陰なの。
 みやちゃんが、涼二に好きだって言ったからあたしも好きだって気付けた。
 ごめんね。こんな鈍感で馬鹿な子が友達で、ごめんね……ごめん。
 最悪なのはあたし。分かってる。
 でも、どうしたらいいのか、わかんない。
 ―――まだ、みやちゃんとずっと、友達で居たい……

 自己嫌悪で死にたいぐらい、みやちゃんも大好きだよ。

 だから―――どうしようっ……!
 あたし……っ!
 みんな、大好きなのに……!
 まだ、4人でやりたい事いっぱいあるのに……!」

「ずるい……!
 ずるいよそういうの……!
 ―――私が、悪くなっちゃうじゃん……!」

 言いたくも無い言葉が次々と出てくる。
 もう、ヒメちゃんの顔が見れなくて俯く。
 涙は止まらない。
「みやちゃんは悪くないっ!」
 ヒメちゃんが私に抱きついてくる。
 ―――それは、縋るという行為で。
 決して、友達にするようなことじゃない。
 必死で縋るヒメちゃん。

 分かった。
 分かったよ涼二。
 私がここに連れて来られた理由。
 ―――ここで、終わるんだ、私達は。
 ココで始まった。
 ココで終わる。
 それで、全て。
 私もそれでいいと思った。

「私、行かなきゃ」

 ―――結局、私か、ヒメちゃんがそうなるだけだった。
 この関係を続けるって、そういうこと。
 二人を止めないと。
 二人を止めて、言うんだ。

「さよなら」

 そう言って彼女を振り払った。






「違う……!
 逃げないでよみやちゃん……!
 あたしと、向き合ってよちゃんと……!」
 振り返るとヒメちゃんが立ち上がってた。
「逃げてない……よ?」
「逃げたっ!!
 文句言えばいいじゃん!!」
「だから私が悪者になるじゃん!
 いやだって言ってるじゃんかそういうの!」
「別に悪者じゃないよっあたししかいなのに良いも悪いも無い!」
「そう、そうだよ。わたしも、ヒメちゃんも悪くないよ……!
 わたしが勝手に告白して……勝手にふられただけだもん……!
 自業自得だよ……放っておいてよ……」
「やだよ! あたしが納得できないもん!
 みやちゃんが納得してくれてないのが一番いや!
 それってあたしがみやちゃんに認められてないって事じゃん!」
「みとめる!? 何を!? 二人はお似合いだよね! おめでとう! こう!?」
「ちがうぅ! 別に似合ってるかどうかってことじゃなくて……!
 ただ、ただ……! あたしが、みやちゃんに……っ!
 みやちゃんにも……笑ってて欲しくて……っそれがちゃんと、四人で居た時みたいに……!
 わかってるの! 全く同じ関係にはなれないの!
 でもねっみやちゃんが辛そうだから……」
「……ねぇ、それって私に喧嘩売ってるの? 原因が二人ともいて、私が普通にしてられると思ってるんだ?」
 嫌な自分にズキズキと身体の内側からとげの生えた何かが広がっていく。それも痛い。

「思う!」
 彼女の真っ直ぐな視線に、すこしだけ気圧された。
「認められたいの。あたしが涼二と似合うって。みやちゃんに」
 似合う。似合うよヒメちゃんは……。ベストカップルだと思うよ。

 だから悔しいんじゃない……!!

 泣きそうになる。それはでも負けたみたいで嫌だ。負けてるんだけれど。
 心の傷が疼くんだけれど私は彼女の相手をする事にした。
 手出しは無い。
 当然、物理的な喧嘩するほど女の子の世界は簡単じゃない。
 チクチクネチネチ言い合うのが喧嘩。
 勝ち? 負け? それは違う。
 どちらかが“納得”するまでだ。
 もしかしたら永続と続くスパイラルかもしれない。
 それでも。

 彼女があまりにも真っ直ぐ私を見るから。


 秋野京が、相手しようと思った。



 水が満ちるみたいに空っぽだった私の中に何かが詰まっていった。
 それは言葉だろうか、感情だろうか。
 ―――でもそれは全てが私。

 腹が立つ。

 この際だ。言いたい事は全部言う。
 この喧嘩は、私は嫌われる事を厭わない。
 ヒメちゃんは違うんだろうけど、もう関係ない。

 どんな言葉を出したって私が滑稽なだけである。
 貴女に涼二を取られたといっても、付き合ってすら居なかったし、ずっと一緒に居るつもりでいた。
 彼女と言う存在が――本当の涼二を見つけ出して。本当に彼がなりたかった涼二に戻した。
 私の苦労や心の痛みなんて知らないくせに。どれだけ本気で想って来たのか知らないくせに。

 でも、それは私も同じだった。
 想ってきた過程も育ってきた家庭も知らなくて。出会ってからどれだけ苦労して涼二を元の涼二に戻したか私が知るわけも無い。
 沢山在る思い出を自慢するだけの私と、本当の涼二と手を繋いで歩いていく彼女とではやはり私は滑稽に映る。

 そうやって彼女と自分を比べて、情けなくなってきた。
 ヒメちゃんもそうだったのだろうか。私よりも涙脆い体質の彼女は既に涙を零している。
「……あたし、涼二のこと全然分かってない……っ」
 彼女が泣く理由があるのだろうか。貴女は涼二に選ばれたと言うのに。
「あたしが、みやちゃんだったら同じ事したか……多分離れちゃったよ。
 だってあたしは、優一になるっっていう涼二は止められなかったし、会わなくもなったし」
 でも彼女は後悔している。そしてその後悔を繰り返さない為に必死で頑張った。傷ついても縋りついた。
「……わたしがヒメちゃんなら、涼二をもう一度歌の道に戻す事は絶対出来なかったよ……」
 そんな事をして涼二に嫌われるのが怖い。
 彼女のように彼を引き戻せるような魅力はわたしには無いから――ただ傍で。見守るだけ。

 いくら比べても仕方が無かった。
 わたしはヒメちゃんじゃない……。
 もう、とっくの昔に分かっていたのに……。

 涙が溢れてきた。

 何やってんだろ、って泣けてきた。

 涼二が自分を認めた。わたしは彼を認めていて彼の進む道を疑った事は無い。
 わたしが認めたくなかったのは―――自分だけのはずだ。
 涼二が進んでくれるのは嬉しい。
 ヒメちゃんが幸せなことも嬉しい。
 そのはずだ。偽る事の無い、私の本音だ。

 わたしは、
 ヒメちゃんを――。
 貶したり、嫌ったり、出来ないんだよ。

 目の前のヒメちゃんが真剣なのにそれを……!
 私は今、やっと、嬉しい事だって気づいたよ……!

 真剣に向き合ってくれる女の子。友達。
 私は変だったから。涼二に固執した優等生ぶったやつだって嫌われてたから。
 本当に私が優等生じゃなくたって笑ってくれる、泣いてくれる、真剣に考えてくれる――そんな友達は彼女しか居ない。
 嫌のは、私だ。そんな子を遠ざけようとする。
 こんな私は嫌われると、思った。

 だけど。

 私は彼女を嫌いにはなれない。今もずっと感謝してる。
 彼女が言っていることの意味だって分かる。彼女が私を認めているように、彼女も自分を認めて欲しいんだといっている。
「ひめちゃん」
「なに……?」

「私ね、嫌な奴だよ」
 だだをこねて、ただ自分が悪いってことを認めようともしない。これを逃げて時間で溶かしてしまえば私は元通りになるんだと思ってる。
「そんなことないもん」
 ひめちゃんは真っ直ぐ私を見る。
「傷つくのが嫌で、ヒメちゃんや涼二や柊君にまで迷惑かけてる」
 涙が止まらないから、泣き顔のまま。それでも表情だけは冷たいままだと思う。
「うん。でもみやちゃんの為なら嫌じゃないよ」
「……っ」

 彼女は少し近づいて私の手を取った。彼女はよく授業が終わって話しているときとかに無意味にそういうスキンシップをする。嫌ではないし、爪を褒められるのは嬉しいしそれは良かったのだけど。いつものように何気ないしぐさ。
「あたし、みやちゃん大好きだから」
「私は……」
 純真な彼女。私はこんなにも愚か者。
「皆をね、一番最初に助けてくれるのがみやちゃんだから」
「そんなこと……」

「涼二が独りにならないようにとずっと居たんだよね」
 それはずっと友達で、一緒に居るのが楽しかった涼二が急に一人になろうとするから。

「柊君と喧嘩しすぎてボロボロになっちゃうのをいつも止めてくれてたんだよね」
 柊君は優しいけど、手を使わせると本当に強いから、誰か止めるタイミングを教えてあげないといけない。

「あたしが転んでも、絆創膏が出てくるの」
 それはひめちゃんがすぐに転んじゃうから。いつもいつも心配だった。

 わたしの手の上に滴る雫はわたしのものじゃない。

「っぅ……そんなみやちゃんを傷つけるのは嫌だよ……! ごめんね……!
 痛いならあたしが絆創膏のかわりになんとかするから! 逃げないで……!」

 ひめちゃんの訴えが響く。
 何時間も語って、彼女の意見はひっくり返らなくて、わたしの退室は拒まれ続けた。
 私が答えを得たかと言うと、それに近い満足感が満ちてきていた。
「……絆創膏?」
 涙を拭いながら彼女が気丈に笑顔を作って笑いながらこちらを見た。
「そう、あたし絆創膏! ひっついたら離れないよっ!」
 ぎゅうっと握ったてを抱え込むようにして持つ。
 そのしぐさが可愛くて噴出してしまった。



 長かった。
 ふと時計を見るとビックリするぐらい長かった。
 短針が―――10時を指している。
「―――あ、はは……っ」
 声が掠れる。
 それだけ、全力で喋った。泣いた。
 思っていること全部吐き出した。
 でも―――全部答えが返ってきた。
 答えじゃなくて、叫びっぽいのがあったけど。
 言いくるめて、言いくるめられて、飲み込んで、吐き出して。
 その繰り返しで、残骸みたいになって、部屋に四肢を投げ出した。
 もう、何も無い。何も無いけれど、彼女が一番の友達である事が分かった。

「―――あたしはっ涼二が好きでっみやちゃんと友達がいいっ……っ」

「―――もう……いいよ。わかったから」

 言った。
“納得”して譲った。
 なんだか、気持ちが良い。
 此処に来た時よりずっと気持ちが軽い。
 だから、涙が溢れて止まらないし、そのまま笑顔。

 涼二と好きだと言う気持ちはまだ引きずってる。
 それを、こんな強引で我侭な彼女に取られてしまった。
 わたしが

 きっとそれをうれし涙と言うのだ。

「ヒメちゃん」
「っなにっ」
 嗚咽が止まらないヒメちゃん。
 涙をくしくしと手で拭いながら私をみる。
 ―――いつもの、可愛いヒメちゃんだ。
「ヒメちゃんっ」
「っうんっぁ」
 ただ、呼ぶ。
 存在を確認するだけの為に。
 私は、あの時のように笑っては居ないけど。
 あの時みたいに、隠せないけど。
「あたしも、ヒメちゃん大好きっ」
「っうんっぁたしもっっ」
「ヒメちゃんと―――っずっとっ友達がいいよっっ」
 ヒメちゃんが泣きながら私に抱きつく。
 私も、泣きながら抱きとめて一緒に泣く事にした。

 私にも大事だった関係。
 壊れるのは悲しい。
 ヒメちゃんと言い合うことで、もっと大事なった。
 一番嬉しかったのは、私達三人が居たから、好きになったんだって言う言葉。
 上手く言い表せてないから、ああでもないこうでもないと言い直すけど結局こう言うのだ。
 三人が一緒に居る空気が好きで、あたしも居たいって思っのっと言い続けて。
 私はその言葉を理解して納得した。
 三人でいて、良かった。
 こんな良い子に好かれた。
 誇らしい事だと思う。


 そして、動き出す時間は、また、楽しいものであると信じて―――私はそこに戻る事にした。


「ん―――そうだっ」
「……っどしたのっ?」
「うん。涼二と柊君の所に行かなきゃ」
「へっ? あっそっか」
「ボロボロかもね〜涼二」
「涼二がっ!?」
 当然だ。柊君がボロボロにされるなんて勉強の上だけだろう。
 格闘では何一つ譲ってはいない。
 体力も筋力もまるで柊君が上だ。
 喧嘩だと、数十分持たない。
 ヒメちゃんがオロオロとしながら立ち上がる。
「た、大変だっ早く行かないとっっ」
 ―――喧嘩ならの話だ。
 試合なら、別だ。
 涼二はまだ立ってる。
 確信があった。
「大丈夫だよっ」
 私は笑って後を追うように立ち上がる。
 そして道場に向かって二人で歩き出した。









 ―――予想より、遥かに。

 バシッッ!!
 ズドッッ!!

 重い音、早い動き、激しい姿。

 確かに涼二は立っていて動いていた。
 無言で息遣いだけが聞こえて、舞台で踊るみたいに綺麗で……
 ―――戦いと言う雄々しい力強さをひしひし感じた。

 バンッッ!!

 涼二が掴まれて、投げられる。
 一本だ。
 それでもほぼノータイムで立ち上がり涼二は構える。
 二人は距離を取って間合いを計りながら、足を動かす。

 ―――涼二の膝が笑っている。
 血が滲んで、真っ赤だった。

 ―――あ、れ?

 なんで、あんな風になっているのだろう。
 時計を見る。
 思い出す。
 ここに来て―――4時間。

『京が返って来るまで』

 それまでが“試合”の時間だと。
「―――めて」
 その間。ずっと、涼二は―――
「もう、やめて……!」

『止めて!!』

 声が重なる。
 ヒメちゃんと同時に叫んだ。

 涼二と柊君が驚いた顔でこっちを見る。

「京―――詩姫……?」
「もういいよっ! 涼二、怪我が……!」
 ヒメちゃんがブンブン手を振ってその真っ赤な足を指差す。
「あ、あぁ……」
「試合、終了、だな……ふぅ……」
 その言葉を聞いて、涼二がガクッと膝を落とす。
 本人すら不思議そうな顔をしていた。
 柊君も流石に疲れたのかその場に座り込んだ。
「お前さ……ばっっか、じゃねぇの?」
 柊君が涼二にそう投げかけた。
 反対はよくある。柊君がそういうのは本当に珍しい気がする。
「……黙秘、する。はははははっ」
 息遣い荒く答えて満足げに笑った。
 柊君も同じく切れたように笑い出す。

「―――うっし! 風呂入ってメシだな!」
 柊君は勢い良く立ち上がって、涼二を引き摺って歩いていく。
「ははははっ」
 笑いっぱなしで引き摺られる涼二。
 私と目が合うと、やっぱりその笑顔のまま。

「お帰り京っ」

 拳を突き上げて、そう言った。

 それを見て思う。
 何も変わってないんだって。
 子供の頃から、涼二は。
 懐かしいまま。
 あの時の笑顔で―――。

 私の手を引いてくれるのだ。





「―――終わったの? 長かったねー。ご苦労様」
 玲さんが居間で待ちくたびれて寝ていた。
「できたて程じゃないけど冷めても大丈夫なの作ってあるから皆で食べて」
 目を擦りながらそんな事を言う。
「ホントだ〜っ有難う御座います玲さんっ」
 ヒメちゃんと一緒にペコペコと頭を下げる。
「うん。ウチはお邪魔出来んからねー。
 ―――ん〜さて。ウチはもう寝ちゃうよ」
「はいっあと片付けしときます」
 ホントもう喜んでって感じだ。
「残ってたら、明日の朝投げるから。柊」
 キラリとした視線が柊君に飛んでいく。
「オレだけかよ!」
「ははは。でも今日は食べれそうだ。玲さん手加減してくれたの?」
 涼二がテーブルを見て言う。
 確かに玲さんにしては少なめだ。
「……ウチは3人だって聞いてたからねぇ」
 確かに……3人だとアウトだった。
 絶対この量は食べれない。
「ふ。オカンに涼二と京が来るって言ったら即効で冷蔵庫チェックから始めたからな。
 ヒメっち呼んで正解だったぜ」
 ふぃーっと息を吐きながら汗を拭く動作をする。
「実はこのために呼んだのかよ」
「お前この前オレがどんだけ酷い目にあったかしらねぇだろ!?」
 涼二と柊君が言い合っているが、体は箸を持ってご飯用の戦闘態勢に入っている。
 二人がお風呂から出て、私達が二人で入った。
 私達が出るまでご飯は待ってくれていた。
 だから、早く食べさせてあげよう。そう思ってヒメちゃんと一緒にそそくさと席に座る。
 パシッ
 柊君が音を立てて手を合わせる。
 涼二とヒメちゃんもそれに続いてペチッと手を合わせる。
 私も手を合わせて―――

『いただきますっ』

 そう、声を揃えた。


 家族みたいに仲のいい親友達で、頼りになって、時には喧嘩して仲直りして。


 私の誇る、親友です。

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